「メリケン・ダイナー」



オレはカウンターでコーヒーをオーダーし、タバコに火を点けた。

スツールに軽く腰掛け、ナナメ45°から外を眺める。

窓の外には、ヤサ男にベタベタひっついて歩くダイナマイト・バディな女。

ダイナー(ここ)には、ローラスケートにミニスカートのウェイトレスさえ
いやしねぇ。

どんだけハンバーガー食ったらそんなになんだよ?!ってくらいの、別のイミで
ダイナマイト・バディなおばちゃんが、カウンターの向こうに一人。


   理不尽だ。


今日のコーヒーは、一段と薄くてシケた味がする。

オマケにオレが待ち合わせてんのは、キュートな女の子じゃなく、長年つるんできた
野郎だしさ。


ヤツが手を上げながら入ってきた。

「Yo,bro!」
「待たせんなよ?」

オレは3本目のタバコに火を点ける。

「待てねェ?オトナじゃねーなー?そういうトコがまだまだガキだっつーんだよ、
 オメーは」

何かにつけ、コイツはオトナオトナと抜かしやがる。

「悪かったな、ガキでよ」

オレは煙と共にコトバを吐き出す。

ふと視線を感じてカウンターに目をやると、太っちょおばちゃんが睨むように
こっちを見ている。

たぶんおばちゃんの言わんとしてるコトは、コーヒー1杯でいつまで粘るんだって
コトだろう。

「あ、おねーさん、コーヒー1つ。ありったけの甘いスマイル入りでね?」

コイツってばよ・・・。(-_-;)

おばちゃん、いや、おねーさんはフッと半笑いして、コーヒーをカウンターに置いた。


   オレのより濃くね?


「何事も立ち回りがカンジンよ、You know?」

わかったよーな口利きやがってよー。
ちょっとばかりオレより背が高ェだけじゃねーか。

って、オレが言う前に、コイツはオレの肩をポンポンと叩いた。

「ハイハイ、オメーはオトナなイロ男だよ」
「やっとわかってきたじゃねーか」

ったくコイツは幸せモンだよ、オレっていう理解者を持ってさ。


「さて、行ってやるとするかぁ、ヤローどもの音を聴きに」
「そうだな、オレらの音にはまだまだ追いつけねーだろーけどよ」

オレもデカイ口を利いてみた。

「おねーさん、ごちそーさま」

コイツが手を上げて立ち上がると、おば・・・おねーさんは、半笑いを
浮かべた。

「お、女神の微笑みをいただいたぜ?」
「オメーはアタマ(ココ)もとことん幸せなヤツだな」

オレは呆れながらも、おねーさんに手を振ってみた。

・・・・・・・振り向きもしねェ。


   世の中、理不尽なコトばかりだゼェェーーー!!





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