「返歌 紅(くれない)の君へ」 〜むらさきの君 弐〜


僕が君の元を去って、幾年月が過ぎたことだろう。
今僕は、蒼く澄んだこの国で、静かに暮らしている。

君が連れて行ってくれたあの丘の公園で、僕は初めて紫式部を知った。
僕の好きだった紫の、この上なく美しい色を、最期に君は見せてくれたね。

『僕の瞳は、紫式部に負けず輝いていた』そう君は思ってくれたかもしれないけれど、
君の紅の唇は、茜に染まる夕暮れの空のように、美しく輝いていた。

君が僕に愛するということを教えてくれたのだよ。
運命を共にすることはできなかったけれど、君と過ごせた日々は、
いつまでも記憶の中に残っている。
できることなら今すぐにでも、その紅い唇に触れて愛したい。

遠い国に来てしまった僕。今度君に逢えるのはいつのことになるのだろう。
君は僕に気づかないかもしれない。いや、出逢えてもお互いにわからないかもしれない。
それでも僕は、君を見つける、きっと。
人の命は儚くて、また離れ離れになってしまう日もやって来るだろう。
それでも僕は、君を見守っているよ、絶えることなくきっと。

『陽彦さん』と見上げる君に、天国(ここ)から心を込めて贈りたい。
白い花のような雪と共に。どうか君に届きますように・・・。


   「紅の君へ 僕もその紅い色を忘れない

          今でも君を愛し続けているよ」




BGM : ポルノグラフィティ 「シスター」「うたかた」