「Sketchbook」 〜想い〜
今年もようやくゼラニウムの花が咲いた。
でも去年とは違って、赤と白は寄り添ってなかった。
ほったらかしにしておいたのに、肥料も水もマジメにやらなかったのに、
しっかりと花を咲かせてる。
生きぬく力?
どっちかっていうと花っていうよりも雑草のようなたくましさを感じる。
アロエに向かって歌うCMがあったけれど、
私もゼラニウムに話しかけてみた。
淋しい女だって笑わないでよ?
あの人に手紙を書いたの。
10年かかっちゃったよ。その言葉を伝えるまで。
それじゃまたねと、ごくふつうに別れた夏から、
ずっとずっと好きなままで忘れられずにいた、と。
でもやっぱりどうしても綴れなかった言葉がある。
どうか、私を愛せないと言ってやってほしい、って。
友達としてあいまいなままじゃダメだって思ったの。
けれど、もともと二人の間には始まってもいない恋だったから、
終わりだけ欲しがってもムリなんだよね。
やっぱり書けなかった。
自分に勇気がなかったわけじゃない。
そのくらいしなければ、むやみやたらな片想いの結末なんて迎えられない。
(いや、勇気がなかったんだとも思うけど)
それに・・・隣りにいるだろう、見えない彼女の顔が見えるような気がした。
私の身勝手さで、あの人を困らせるようなことはしたくない。
きれいごと言ってるって、また友達にツッコまれるかな?
もう嘘はつきたくないって思ってた。だから正直に綴ることにした。
でももうこれは、強がりでも嘘でもいい子ぶってるわけでもない。
感謝してる。素敵な記憶をありがとう。
好きでいられたこと、誇りに思ってる。
幸せを心から願ってるから。
自分についていた嘘から今、ようやく解放された。
言えたよ、言えたんだよ。
ねぇ、私少しはたくましいオトナになれたかな?
白いゼラニウムにはたくさんつぼみがついてる。
これからまた、花を咲かせるために・・・。
今、赤いゼラニウムがうなずいたように風に揺れた。